前回(第32回)は、
高配当株という「静かな収穫」について書いた。
ワシにとって高配当株投資は、
配当という果実を育てる投資である。
安く買い、
企業が利益を上げ、
配当という果実を受け取りながら、
できるだけ長く保有する。
言葉にすれば簡単だ。
ところが、
実際に31銘柄を保有してみると、
これがなかなか難しい。
下がれば、
「大丈夫か?」
と思う。
上がれば上がったで、
「そろそろ売った方がいいんじゃないか?」
と思う。
特にワシは、
もともとスイングやデイトレこそが
株式トレードだと思っていた人間だ。
含み益が大きくなれば、
どうしても利確したくなる。
今回は、
そんなワシが現在進行形で経験している、
高配当株の含み益と含み損との付き合い方
について書いてみたい。

■この記事でわかること
・現在の与作の高配当株の運用状況
・含み損になっても慌てない理由
・株価が2倍近くになっても売らない理由
・高配当株で買い増しと利確をする時の考え方
・スイングと高配当株を分けて考える理由
■結論
👉 高配当株31銘柄全体では、現在約200万円の含み益
👉 含み損でも、配当の前提が崩れていなければ慌てない
👉 含み益が大きくなっても、それだけを理由に利確しない
👉 買い増しも売却も、一銘柄ではなく全体のバランスで考える
👉 高配当株は、短期の売買益を狙う投資ではない
31銘柄、全部が儲かっているわけではない
現在、
ワシが保有している高配当株は31銘柄。
買付額は、
合計で約1,550万円。
現在の評価額は、
約1,750万円。
含み益は、
およそ200万円になっている。
これだけを見ると、
「順調じゃないか」
と思われるかもしれない。
だが当然、
31銘柄すべてが含み益になっているわけではない。
現在、
含み益になっているのが24銘柄。
含み損になっているのが7銘柄。
上がっている株もあれば、
下がっている株もある。
しかしワシは、
一銘柄ごとの勝ち負ちには、
それほどこだわっていない。
高配当株投資は、
31回勝負をして、
何勝何敗だったかを競うゲームではないからだ。
大事なのは、
高配当株という畑全体が、きちんと果実を生み続けているか。
ワシは、
そこを見るようにしている。
買った途端に上がってしまった株
ワシは高配当株を始めた当初、
どの銘柄も基本的に100株から、
コツコツ買い始めた。
ターゲットにした銘柄の中から、
割安だと思えるところで買う。
そして購入後に下がれば、
企業そのものに問題がないことを確認したうえで、
さらに買い増す。
このやり方なら、
平均取得単価を下げながら、
保有株数を増やすことができる。
ところが、
困った銘柄もある。
買ったあと、下がってくれなかった株だ。
代表的なのが、
THKや有沢製作所。
どちらも最初に買った100株だけ。
買い増すチャンスを待っていたら、
そのまま株価が上がってしまった。
一時は、
買値からほぼ2倍になった銘柄もある。
こうなると、
ワシの中に別の虫が騒ぎ始める。
「もう売っちゃえよ」
という虫だ。

株価が2倍になると、売りたくなる
これは、
ワシにとって結構な葛藤である。
100株とはいえ、
買った株が50%上がる。
さらに上がる。
一時は100%近い含み益になる。
そうなれば、
スイングトレーダーだったワシの感覚では、
完全に「利確」の領域だ。
十分儲かった。
一度売って、
また安くなったら買えばいい。
どうしても、
そう考えてしまう。
だが、
そこで自分に言い聞かせる。
「待て。これはスイングじゃない。」
そもそも、
何のためにこの株を買ったのか。
短期の値上がり益を取るためではない。
配当という果実を、
長く受け取るために買った株だ。
しかも今後、
増配するかもしれない。
株式分割があるかもしれない。
企業が成長すれば、
さらに大きな果実を生む木になるかもしれない。
それなのに、
木の値段が上がったからという理由だけで、
木そのものを売ってしまっていいのか。
今のワシは、
そう考えて踏みとどまっている。
含み損だからといって、失敗ではない
逆の銘柄もある。
合同製鉄だ。
当初、
3,800円台で100株保有していた。
ところが、
四半期決算が期待を裏切り、
株価は2,500円台まで下落した。
当然、
含み損になった。
だがワシは、
そこで投げなかった。
100株ずつ、
二回買い増した。
現在は300株。
平均取得単価は3,200円台まで下がった。
株価は3,000円前後まで戻しているが、
まだ含み損である。
では、
失敗なのか。
ワシは、
今のところそうは考えていない。
もちろん、
配当の前提そのものが崩れれば話は別だ。
だが、
一定の高配当を受け取りながら、
企業が回復する可能性が残っている。
それなら、
株価が買値を下回っているというだけで、
ジタバタする必要はない。
むしろ、
安いところで買い増すことで、
平均取得単価を下げ、
将来受け取る配当金も増やすことができる。
含み損=失敗
ではない。
少なくとも、
高配当株ではそう考えている。
ホンダとマツダでは買い増した
同じような経験をしたのが、
ホンダとマツダである。
ホンダは、
もともと200株。
平均取得単価は1,520円ほどだった。
その後、
株価が1,300円を割った。
ワシは数段階に分けて買い増し、
一時は900株まで増やした。
その結果、
平均取得単価は1,409円まで下がった。
その後、
株価が1,550円あたりまで戻したところで、
400株を売却。
現在は500株を保有している。
マツダも同じだ。
もともとは200株。
平均取得単価は1,100円程度。
株価が1,000円前後まで下がったところで、
段階的に600株まで買い増した。
平均取得単価は、
1,063円まで下がった。
その後、
1,200円まで上昇したところで100株を売却。
現在は500株を保有している。
では、
なぜ一部を売ったのか。
利益が出たからではない。
リバランスである。
買い増した結果、
高配当株全体に占める輸送機関連の比率が、
ワシの中で高くなりすぎた。
だから一部を減らした。
ここは、
スイングの利確とは意味が違う。
一銘柄ではなく、畑全体を見る
高配当株を31銘柄持って、
ようやく分かってきたことがある。
一つ一つの株価だけを見ていると、
毎日のように判断したくなる。
上がれば、
売りたくなる。
下がれば、
損切りしたくなる。
だが、
それを繰り返していたら、
結局スイングトレードと同じになってしまう。
高配当株で見るべきなのは、
一つの木だけではない。
畑全体だ。
どの業種へ偏っているのか。
配当は安定しているのか。
買い増す余地はあるのか。
一社が減配しても、
全体の収穫を維持できるのか。
含み益200万円という数字も、
ワシにとっては嬉しい。
しかし、
それを全部現金に換えたいわけではない。
むしろ、
31本の木がこれから先も
果実を生み続けてくれることの方が重要なのである。
一番難しいのは「売らないこと」かもしれない
もともとワシは、
スイングやデイトレこそが
株式トレードだと思っていた。
だから、
含み益が増えると、
どうしても利確したくなる。
これはもう、
トレーダーの性みたいなものなのかもしれない。
だが、
高配当株投資では、
この感情が邪魔になることがある。
安いところで買う。
下がったら、
前提を確認して買い増す。
平均取得単価を下げる。
保有株数が増えれば、
受け取る配当も増える。
そして、
企業が成長すれば、
株価の上昇までついてくる。
そこで、
含み益が増えたからといって、
すぐに全部売ってしまったら、
せっかく育てた木を
収穫前に切ってしまうことにもなりかねない。
高配当株投資で一番難しいのは、
買うことではなく、
利確したい葛藤を抑えることなのかもしれない。
最近、
そんなことを考えるようになった。
スイングとは、まったく別の投資である
スイングトレードでは、
期待値を見ながら、
利益を取りに行く。
目標へ届けば、
手仕舞う。
期待値が崩れれば、
損切りする。
高配当株は違う。
もちろん、
永遠に持ち続けるわけではない。
企業の業績が崩れた。
配当の前提が崩れた。
ポートフォリオのバランスが崩れた。
そうなれば、
売却も考える。
だが、
「十分儲かったから売る」
だけでは、
ワシが高配当株を持つ目的とは合わない。
短期的な売買益を取りたいなら、
ワシにはスイングという別の柱がある。
だからこそ、
高配当株までスイングにしてはいけない。
攻めは、攻め。
農耕は、農耕。
果実は、果実。
同じ株式投資でも、
それぞれの役割をごちゃ混ぜにしない。
これが、
今のワシの三本柱なのである。
👉まとめ
▶ 現在、高配当株は31銘柄。全体では約200万円の含み益
▶ 31銘柄すべてが勝っているわけではなく、含み益24銘柄・含み損7銘柄
▶ 含み損でも、配当の前提が崩れていなければ慌てない
▶ 買値から大きく上昇しても、それだけを理由に簡単には利確しない
▶ ホンダやマツダの一部売却は、利益確定ではなく全体のリバランス
▶ 高配当株は一銘柄の勝ち負けではなく、畑全体の収穫を見る
含み損になれば、
売りたくなる。
含み益が大きくなっても、
やっぱり売りたくなる。
結局、
どちらへ動いても、
人間の感情は騒ぐ。
だからワシは、
そのたびに原点へ戻る。
何のために、この株を買ったのか。
高配当株は、
短期の売買益を取るために買ったのではない。
配当という果実を、
長く受け取るために買った。
焦らず。
恐れず。
欲張らず。
果実が実り続けているうちは、
慌てて木まで切る必要はない。

■次回予告
高配当株を持っていると、
含み益が増えても迷い、
含み損になっても迷う。
だが、
投資で迷うのは高配当株だけではない。
次回からは、
もう一度ワシ自身の投資人生へ戻ってみたい。
今の三本柱へたどり着くまで、
ワシは何度も失敗し、
そのたびに投資のやり方を変えてきた。
その中でも、
今のワシの投資スタイルを決定的に変えた経験について、
改めて書いてみようと思う。
■関連記事
👉 第32回|「高配当株という“静かな収穫”|配当で果実を育てる与作流の考え方」


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