前回は、ニデックやキオクシアを例に、一攫千金を狙う危うさについて書いた。
今回は、個別銘柄から少し離れ、最近の株式市場を見ながら感じていることを書いてみたい。
株価が大きく下がる。
少し戻ったかと思えば、また下がる。
そんな相場を見ていると、「そろそろ買い場ではないか」と考える人もいるだろう。
だが、ワシが考えているのは、単純な買い場探しではない。
この相場で、何を守り、どこで戦うべきなのか。
暴落だから買う。
暴落だから売る。
そんな単純な話ではない。
ワシには、スイングトレード、インデックス投資、高配当株投資という三本柱がある。
そして、同じ暴落でも、この三つでは向き合い方が違う。
今回の話は、その違いについてだ。

■この記事でわかること
・最近の相場の値動きに、ワシが感じている変化
・暴落時に長期投資と短期投資をどう考えるか
・スイングトレードで期待値を重視する理由
・余力を残すことの本当の意味
・シニア投資家が守るべきもの
■結論
👉 暴落したからといって、期待値のない逆張り勝負はしない。
👉 高配当株やインデックス投資では、暴落が長期投資のチャンスになることもある。
👉 スイングトレードでは、株価よりも期待値が崩れていないかを確認する。
👉 余力は、使うためだけでなく、使わずに済むためにも残しておく。
👉 ワシが避けたいのは暴落そのものではなく、期待値のないギャンブルだ。
■値動きの幅が、ワシの感覚から離れていく
10月30日の日経平均株価は、前日より1,369円36銭下落した。
下落率は2.12%。終値は6万3,290円11銭だった。
これは、10月31日の記事公開にあたり、前日の終値を確認した数字である。
ワシが気になるのは、下げ幅の数字そのものではない。
10月27日には1,078円72銭上昇し、28日も685円82銭高、29日も705円28銭高。
ところが30日には、一転して1,369円36銭の下落だ。
わずか数日の間に、これだけ大きく上下する。
以前の感覚で相場を見ていても、どうにも収まりが悪くなっていることだ。
かつては、卓球台の上でラリーをしているような値動きだった。
それがテニスコートになり、サッカー場になり、今ではゴルフコースほどに広がっているように感じる。
もちろん、これは統計的な分析ではない。
ワシが相場を見て感じている、値動きの大きさと速さの話だ。
卓球台のつもりで構えているのに、球がサッカー場の向こうまで飛んでいく。
そんな相場で、昔と同じ間合いのまま勝負していいのだろうか。
「このくらい下がれば、そろそろ反発するだろう」
その「このくらい」が、通用しなくなっているのではないか。
ワシは、そこに危うさを感じている。
■AIアルゴが支配する相場なのか
最近の激しい値動きを見ていると、ワシには、従来の需給だけでは説明しきれないように感じることがある。
機関投資家がAIやアルゴリズムを駆使し、売りでも買いでも大きな値動きを生み出す。
上昇に乗り遅れまいと個人投資家が飛びつく。
ところが、今度は急落に巻き込まれる。
そんな光景を見ていると、個人投資家が巨大な市場の動きに振り回されているように見える。
もちろん、これはワシ自身の見方である。
実際に誰がどんな注文を出し、どんな意図で株価を動かしたのか、ワシが確認したわけではない。
今の下落がすべてAIによるものだと断定できる話でもない。
しかし、重要なのはそこではない。
自分が相場の動きを理解できない時に、無理に勝負する必要があるのか。
相手の正体がわからなくても、危険を感じたら距離を置くことはできる。
ワシは、そう考えている。
■暴落はチャンスか。それとも危険か
「暴落は絶好の買い場だ」
投資の世界では、よく耳にする言葉だ。
だが、ワシはこの言葉を一括りには考えない。
なぜなら、投資の目的も時間軸も違うからだ。
ワシが続けている三本柱で考えてみよう。
■高配当株|長期投資だからこそ買える場面がある
高配当株は、長い時間をかけて配当を積み上げていく投資だ。
企業の業績や財務、配当方針などを確認し、納得できる銘柄を納得できる価格で買う。
暴落によって、以前から狙っていた優良企業の株価が下がることもある。
企業そのものの価値や配当を支える力が大きく変わっていないなら、ワシにとっては買い増しのチャンスになる。
もちろん、株価が下がった理由は確認する。
業績が悪化しているのか。
配当を維持できるのか。
それとも、市場全体の下落に巻き込まれているだけなのか。
そこを見極める必要はある。
ただし、納得して買った後、さらに株価が下がったとしても、それだけで失敗とは考えない。
ワシが買っているのは、翌日の値上がりを当てるためではない。
長期にわたって配当を受け取り、資産を育てるためだからだ。
買うタイミングは選ぶ。しかし、買った後の短期的な値動きに振り回されない。
これがワシの高配当株投資だ。
■インデックス投資|成長投資枠の残り120万円
インデックス投資も、ワシにとっては長期投資だ。
毎月の積立を続けながら、時間を味方につけて資産を育てていく。
一方で、新NISAの成長投資枠には、今年まだ120万円の余地がある。
この資金をいつ投入するか。
そこには、タイミング投資という考え方が入ってくる。
大きな下落によって、長期保有を前提とした投資信託を以前より安く買えるなら、投入を検討する価値はある。
ただし、底値を当てるつもりはない。
今日買って、来週さらに下がるかもしれない。
来月にはもっと安くなっているかもしれない。
それでも、長期投資という前提が変わらない限り、短期的な下落だけで慌てる必要はない。
購入のタイミングは考えるが、短期の反発を狙って買うわけではない。
高配当株と同じく、ここが重要なところだ。
■スイングトレード|期待値がなければ戦わない
さて、ここからが今回の本題だ。
スイングトレードは、高配当株やインデックス投資とは違う。
短期の値動きから利益を得る投資だ。
だからこそ、ワシは期待値を何より重視している。
暴落している。
株価が大きく下がった。
そろそろ反発しそうだ。
そんな理由だけで買うことはしない。
なぜなら、それは期待値に基づいた投資ではなく、単なる逆張りのギャンブルになりかねないからだ。
ただし、ここは誤解してほしくない。
暴落している株を、すべて売るという話でもない。
ワシが保有しているスイング銘柄も、相場全体の下落に巻き込まれることはある。
それでも、当初想定した期待値が維持されているなら、ワシはどっしり構えていられる。
株価が下がったという事実だけで、売買の判断を変えるわけではない。
しかし、期待値が崩れたら話は別だ。
業績。
成長の前提。
株価が上昇すると考えた根拠。
そうしたものが変わり、当初の期待値が成立しなくなったなら、撤退する。
ワシが以前の記事で書いた、ゴールポストが動いた状態だ。
期待値があるなら、慌てない。期待値がなくなったら、即撤退する。
これは、相場が上昇している時も、暴落している時も変わらない。
■余力は、攻めるためだけのものではない

第39回では、現金をすべて投資に回さない理由を書いた。
暮らしを守る。
急な出来事に備える。
そして、投資の機会を待つ。
現金には、それぞれの役割がある。
信用余力についても、ワシは一定の余裕を維持することを重視している。
暴落時には、その余力が大きな意味を持つ。
ただし、余力があるからといって、すぐに使う必要はない。
「こんなに下がったのだから、買わないともったいない」
そんな気持ちで無理に勝負すれば、余力はあっという間に失われるかもしれない。
一方、長期投資で納得できる買い場が来たなら、現金を使う選択肢もある。
つまり、余力を残すことと、投資のチャンスを逃さないことは矛盾しない。
大切なのは、何のためにその資金を使うのかを明確にすることだ。
山登りにたとえるなら、十分な食料と水を持っているからといって、嵐の中で無理に頂上を目指す必要はない。
安全な場所で天候の回復を待つこともできる。
一方で、安全を確認できる道があれば、着実に前へ進むこともできる。
余力とは、無理に戦わず、自分で選択するための力なのだ。
■シニア投資家が守るべきもの
大きく下がったところで買い、反発したところで売る。
そんな取引で利益を得る人もいるだろう。
だが、ワシがその勝負に参加する必要はない。
誰かが儲けたからといって、自分が損をしたわけではない。
ワシらシニアにとって、投資資金はこれからの暮らしに直結している。
大きく失ったからといって、若い頃のように何十年も働いて取り戻すわけにはいかない。
だからこそ、安易に「暴落はチャンスだ。今こそ買え」とは言いたくない。
同時に、「暴落だから何もするな」とも言わない。
大切なのは、自分の投資目的と時間軸を理解していることだ。
長期投資なら、短期的な下落を受け入れながら、納得できる価格で買う。
短期投資なら、期待値のない勝負を避ける。
どちらにも共通するのは、他人の熱狂に振り回されないことだ。
ワシが目指しているのは、一度の大勝ちではない。
これからも資産の山を登り続けることだ。
そのためには、戦うべき時と、戦わない時を、自分で決めなければならない。

👉まとめ|暴落の中で、無理に戦わない
最近の相場を見ていると、値動きの幅も速さも、以前とは違うと感じる。
この先どこで止まるのか。
いつ反発するのか。
ワシにはわからない。
だからといって、すべての投資を止めるわけではない。
高配当株では、長期保有に値する企業を納得できる価格で買う機会があるかもしれない。
インデックス投資でも、成長投資枠の残り120万円を投入するタイミングになるかもしれない。
しかし、スイングトレードは別だ。
株価が大きく下がったというだけで、期待値のない逆張り勝負には参加しない。
保有株についても、期待値が維持されているなら慌てない。
期待値が崩れたなら、迷わず撤退する。
ワシが戦わないのは、暴落そのものではない。期待値のないギャンブルだ。
焦らず、恐れず、欲張らず。
これからも、自分の登山道を歩いていく。
■次回予告
今回は、暴落時の投資判断について、三本柱それぞれの考え方を書いた。
暴落に振り回されず、資産を守る。
しかし、守ることを優先するからといって、その先の目標までなくしたわけではない。
第一峰の5,000万円。
そして、その先に考えている第二峰。
次回は、
「第43回|第二峰への地図|75歳・資産1億円の青写真」
大勝負で一気に登るのではなく、三本柱をどうつなぎながら、その先を目指すのか。
ワシが考えている長い道のりを、整理してみたい。
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