前回は、ワシの高配当株31銘柄を数字で点検し、分散投資について考えてみた。
今回は、少し違う話をしたい。
ニデック。そしてキオクシア。
株式市場で大きな注目を集め、投資家たちの思惑が交錯する銘柄だ。
こうした話題株と、ワシはどう付き合っているのか。
結論を先に言ってしまえば、200%、絶対に付き合わない。
買うか、買わないか。
どこで買って、どこで売るか。
そんなことを検討する気持ちすら、ワシにはない。
なぜなら、ワシは知っているからだ。
こうした一攫千金の誘惑の先に、どんな地獄が待っていることがあるのかを。
これは、ワシがかつて通った道の話でもある。

■この記事でわかること
・ニデックとキオクシアを見て、ワシが思うこと
・一攫千金を狙う投資の落とし穴
・ワシがかつて空売りで大損した本当の原因
・なぜ話題株という博打に絶対に参加しないのか
■結論
👉 話題株の急騰を見ても、ワシには買いたいという気持ちすら起こらない。
👉 他人の情報で理論武装したつもりになり、簡単に稼ごうとする発想こそ危険だ。
👉 あの地獄を二度と味わわない。そのために、踏み込まないと決めた世界がある。
■キオクシア|見事なイナゴタワー
まず、キオクシアだ。
AIや半導体への期待を背景に、株価が大きく上昇した。
連日のように注目を集め、どこまで上がるのかという期待が膨らんでいく。
ところが、株価は上がり続けるわけではない。
2026年10月には、高値から短期間で大きく下落する局面もあった。
ワシが思い浮かべるのは、いわゆるイナゴタワーだ。
上がるから買う。
買う人が増えるから、さらに上がる。
大儲けしたという話が広まり、それを聞いた人間が次々と飛び乗る。
殿様イナゴ。
高速イナゴ。
そして、最後に取り残される養分イナゴ。
ワシには、そんな構図が頭に浮かぶ。
もちろん、実際に誰がどれだけ儲け、誰がどれだけ損をしたのか、外から見てわかるわけではない。
それでも、急騰を追いかけて高値で買った人間にとって、その後の急落がどれほど恐ろしいものかは想像できる。
大きな含み損。
止まらない下落。
取り返したいという焦り。
明日こそ反発するはずだという期待。
そして、さらに下がる株価。
ワシには、その恐怖が他人事とは思えない。
■ニデック|結末の見えない勝負
次はニデックだ。
ワシも以前、この銘柄を保有していた。
ただし、現在は保有していない。
ニデックは会計上の問題などを背景に、東京証券取引所から特別注意銘柄に指定され、内部管理体制の改善を求められている。
上場を維持できるのか。
それとも、さらに厳しい事態に向かうのか。
先行きには不透明な部分が残っている。
もちろん、上場廃止が決まったわけではない。
だが、こうした不確実性の大きな局面で、将来の株価の急騰に賭けようとする投資家もいるだろう。
うまくいけば大儲け。
外れれば大損。
そんな勝負に見えてしまう。
ワシは、ニデックが今後どうなるかを予想するつもりはない。
まして、その結末に自分の金を賭けるつもりなど、さらさらない。
ワシが考えるのは、別のことだ。
なぜ人は、こんな危うい勝負に飛び込みたくなるのだろうか。
そして、その問いを考えると、どうしても昔の自分の姿が浮かんでくる。
■ワシも昔、同じ獣道を歩いていた
このBLOGの第1回で、ワシは自分の大失敗を書いた。
空売りで大きな損失を出し、積み上げてきた資産を失った話だ。
第2回では、損失を確定させたくないという思いから、なぜ途中で止まれなかったのかを振り返った。
そして第3回では、失敗の根底にあった自分自身の問題について書いた。
当時のワシは、投資の情報を熱心に集めていた。
投資インフルエンサー。
投資コラム。
市場の解説。
いろいろな情報を読み、知識を増やしていた。
そして、いつの間にか自分は投資がわかっていると思い込んでいた。
情報を集めれば集めるほど、自信がついていく。
理屈も説明できる。
相場がこうなれば、株価はこう動くはずだ。
そんなふうに考えていた。
しかし、それは本当に自分で考え抜いた投資判断だったのだろうか。
今ならわかる。
ワシは、他人の情報をかき集めて、理論武装したつもりになっていただけだった。
もっと簡単に儲けたい。
もっと早く資産を増やしたい。
人よりうまく立ち回りたい。
その安易な発想こそが、失敗の根っこにあった。
問題は、空売りという手法だけではなかった。
その手法を使っていた、ワシ自身の考え方だったのだ。
■あの地獄を、ワシは忘れていない

資産が大きく減っていく。
昨日より今日。
今日より明日。
何とか取り返したい。
しかし、思うようにはいかない。
焦り。
恐怖。
後悔。
あの悪夢のような日々を、ワシは今でも忘れていない。
キオクシアの急騰と急落。
ニデックをめぐる先の見えない思惑。
そんな話を見聞きすると、昔の自分を見ているような気持ちになる。
胃が痛くなるような、吐き気がするような、嫌な記憶がよみがえってくる。
だから、ワシには「少しくらい買ってみようか」という気持ちなど起こらない。
大儲けの可能性を前に、参加するかどうか迷っているのではない。
迷うことすら、ありえないのだ。
ワシにとって、そこは二度と足を踏み入れてはならない獣道だからだ。
■今のワシは、昔の自分を外から見ている
キオクシアで大きく儲けた人もいるだろう。
ニデックの今後に大きな期待を寄せている人もいるだろう。
それぞれの投資判断を、ワシが決めることはできない。
ただ、かつてのワシと同じように、情報を集め、理論武装したつもりになり、一攫千金を夢見ている人がいるとしたら。
その姿は、昔の自分と重なって見える。
当時のワシは、他人から何を言われても簡単には考えを変えなかったかもしれない。
自分なりに勉強している。
根拠もある。
勝てると思っている。
だからこそ厄介なのだ。
失敗する前の自分に、今のワシが声をかけられるとしたら、何と言うだろう。
「その情報は本当にお前自身の判断なのか」
「簡単に儲けたいという気持ちが、先に立っていないか」
「その勝負に負けた時、何を失うのかわかっているのか」
そして最後に、こう言うと思う。
「そこへ行くな。ワシは、その道の先を知っている」
■投資の目的を見失った時
ワシは今、スイングトレード、インデックス投資、高配当株投資の三本柱で資産を積み上げている。
スイングトレードでは、期待値と資金管理を重視する。
インデックス投資では、長い時間をかけて積み立てる。
高配当株投資では、納得できる企業を納得できる価格で買い、配当を育てる。
どの柱にも、それぞれの役割がある。
そして、その根底にあるのは、過去の失敗から学んだことだ。
簡単に金を稼ごうとしない。
他人の情報に自分の判断を預けない。
自分が理解できない勝負には参加しない。
何より、資産形成の目的を見失わない。
かつてのワシは、その基本を忘れていた。
だからこそ、今は同じ道を歩かない。
■付き合わないという、たった一つの答え
今回のテーマは、話題株とどう付き合うか、という話だった。
だが、ワシの答えは少し違う。
そもそも付き合わない。
投資対象として検討することすらない。
キオクシアがこの先、再び大暴騰したとしても。
ニデックが問題を乗り越え、株価が大きく上昇したとしても。
それはそれだ。
ワシには関係がない。
自分が参加しなかった勝負で誰かが大儲けしても、ワシの資産が減るわけではない。
まして、昔の地獄に戻る危険を冒してまで、そんな利益を取りにいく理由はない。
ワシにとって大切なのは、次の一発を当てることではない。二度と資産の山を滑落しないことだ。
👉まとめ|あの獣道には、二度と戻らない

ニデックとキオクシア。
二つの話題株を見ながら、ワシが思い出したのは、かつての自分だった。
情報を集め、理論武装したつもりになり、簡単に金を稼ごうとしていた。
その結果、資産を大きく失った。
あの頃のワシには、今の自分の姿など想像もできなかっただろう。
だが、あの失敗があったからこそ、今の投資方針がある。
ワシはもう、派手な儲け話に心を動かされることはない。
目の前に大きな利益の可能性が転がっていたとしても、それが自分の歩く道でなければ拾いに行かない。
あの獣道には、二度と戻らない。
これが、ワシの答えだ。
焦らず、恐れず、欲張らず。
ワシはワシの登山道を、一歩ずつ登っていく。
■次回予告
今回、ニデックやキオクシアを例に、一攫千金を狙う危うさについて書いた。
では、株式市場全体が大きく下落する局面では、ワシはどうするのか。
まさに、ここ最近の日本株がそんな状態かもしれない。
高配当株やインデックス投資にとって、暴落は長期投資のチャンスになることもある。
一方、短期のスイングトレードでは話が違う。
株価が大きく下がったからといって、期待値のない逆張り勝負をするつもりはない。
次回は、
「第42回|暴落の中では、戦わない」
同じ暴落でも、長期投資と短期投資ではどう向き合うべきなのか。
ワシが大切にしている期待値と、資産を守るための考え方について書いてみたい。
■関連記事
空売りによって資産を大きく失った、ワシの再登山の原点。
損失を認められず、なぜ途中で引き返せなかったのかを振り返った記事。
投資情報を集めて理論武装したつもりになっていた、失敗の根本原因を振り返った記事。
高配当株31銘柄の構成を点検し、買い急がない理由について書いた前回の記事。


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